service_mainread02遺言書を作る必要性は、財産の大小とは関係がありません。家庭裁判所の統計によると、裁判所の調停・審判手続で争われている事件のうち、72%は遺産総額が5000万円以下とのことです。争いを防ぐためには、遺言書を作っておくことが大切です。

遺言書を作成するメリット

遺産に関する争いを防ぐ

遺言書を作成する一番の目的は、被相続人の遺産をめぐる相続人同士の争いを防止することです。
遺産をめぐる争いには、次のようなものがあります。

被相続人の土地・建物、預貯金などの遺産につき、誰が何をもらうかの話し合いがつかない。
相続人の1人が、「自分は被相続人の遺産を増加させたり、守ったりしたから、他の相続人より取り分が多いはず だ」と主張して話し合いがつかない。

相続人の1人が、「あの相続人(自分以外の相続人)は、被相続人の生前、被相続人からお金や土地をもらっている から、取り分は少ないはずだ」と主張して話し合いがつかない。

誰に何をあげるということを明確に書いた遺言書があれば、このような争いを防ぐことができます。


中小企業や農家を後継者に承継させる

中小企業を後継者に承継させるには、事業に必要な資産や株式を後継者に相続させる必要があります。
また、農家を後継者に承継させるには、本家の土地建物や農地を後継者に相続させる必要があります。
(土地の有効活用をしてアパートなどを建てている場合は、そのアパートなども後継者に相続させる必要があります)。
遺言書によって、承継に必要な資産を、後継者に相続させることができます。


夫婦に子供がない場合、妻に全財産を相続させる

夫婦に子供がないと、夫が死亡した場合、妻が4分の3を相続し、夫の兄弟が4分の1を相続することになります(夫の父母が生きていれば、兄弟ではなく父母が相続します)。
しかし、妻に全財産を相続させる旨の遺言があれば、兄弟の相続権はなくなり、妻に全財産を相続させることができます。


お世話になった方に財産を相続させる

どんなにお世話になった方でも、相続権がなければ、本人が亡くなったときに、遺産を相続することはできません。
この場合でも、遺言書があれば、お世話になった方に遺産を相続させることができます。
また、内縁の配偶者には相続権がありませんから、内縁の配偶者に相続させたいと思えば、遺言書を書いておく必要があります。


公正証書遺言を作成する具体的手順

文案の作成
まず、相続・遺言さいたま相談室で、遺言書を作るかどうか、作るとして、財産を、誰にどのように分けるかをご相談いただきます。
1回目のご相談では、資料をご持参いただかなくても結構です。また、1回目のご相談は、税金が絡むことが明らかな場合を除き、弁護士がご相談を承ります。
遺言を作ることになった場合、数回の打合せをした後に、文案を作成します。打合せの際には、資料(不動産登記簿謄本、固定資産税評価証明書など)をご持参いただきます。必要であれば、税理士、司法書士も打合せに同席します。
財産診断を受けていると、よりスムーズに遺言書を作成することができます。

公証役場での作成手続き

公証役場と打合せをします

遺言書は、遺言者の自宅に近い公証役場で作成するのが普通ですが、公証役場に管轄はないので、どの公証役場で作成してもかまいません。
相続・遺言さいたま相談室のスタッフが公証役場に電話をして、公正証書遺言を作成したいことと、主な財産内容を話し、公証役場で遺言書作成の打合せをする日を決めます。

遺言書作成のために、一般的に必要とされる書類は次のとおりです。
遺言者の印鑑証明書
戸籍謄本
不動産登記簿謄本
固定資産評価証明書
証人の住民票
預貯金通帳の口座番号などが記載されている部分のコピー
その他、財産を特定するのに必要な書類など

必要書類をそろえた上で、必要書類と文案を持って公証役場に打合せに行きます

この打合せは、相続・遺言さいたま相談室の弁護士が行いますので、遺言者が行かなくてもかまいません。

遺言執行者と証人の選定

遺言者が亡くなった後、遺言の内容を実行し、実現する者として、遺言執行者を選定するのが普通です。
遺言執行者は、相続人の方でもかまいませんが、相続発生後、遺言の内容を実行しようとしたときに、他の親族の反対にあうこともありますし、また、遺言の執行は法律にしたがって行わなければならず、執行手続きは複雑です。
遺言執行者は、弁護士などの専門家に依頼することをお勧めします。
また、公正証書遺言を作成するには、2名の証人が必要です。推定相続人、その配偶者、直系血族などは証人になれません。適当な証人がいない場合、相続・遺言さいたま相談室のスタッフが証人になることもあります。

遺言者と弁護士、証人が公証役場に赴いて、公正証書遺言を作成します

このとき、公証人は、誰に何をあげるという遺言者の意思を確認します。また、公証人は、遺言者に遺言の内容を読み聞かせ、その内容が間違いないかどうかを確認します。
遺言者が遺言書の内容を間違いないと確認したら、公正証書遺言の原本に、遺言書、証人2名が署名、押印します。これで完成です。
公正証書遺言の原本は公証役場に保管し、公正証書遺言の正本1通と謄本1通をくれます。


「遺言」公正証書の例
※pdfファイルです。


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遺言書作成 10万円~50万円の範囲内の額(税別)
遺言書保管 年間6000円(税別)

※公正証書を作る場合、公証役場に納める費用は別途になります。
不動産登記簿謄本、戸籍謄本などの取得費は別途になります。
財産が多額で細かい税金の計算をすることが必要な場合、税理士費用は別途になります。