Jさんは早くに妻に先立たれ、長男家族と同居していました。ところが長男の姉2人と嫁の折り合いは悪く、相続開始前から「相続の時には財産を要求する」ということを公言しているような状態でした。

Eさんと長男はこんな状態を憂慮し、「長女と次女には駐車場と現金2千万ずつで他はすべて長男」という公正証書遺言を遺しました。実際に相続が開始して、遺言執行人が遺言を読み上げると、なんと長女が涙を流して「お父さんがここまで私たちのことを考えていてくれた。

「財産を要求しようと意気込んで来たのだけれど、私は遺言に従います。」と言ってくれました。長女がそういう態度だったので、次女も遺言にすんなり従うことになり、長男は主要な財産を円満に承継することができました。

この遺言には「長女や次女には、私の愛情が足りなかったことは本当に申し訳なかった。私があなたたちに遺した財産は、法律上の権利からしてみれば少ないかもしれないが、あなたたちのことを思い遺した財産です。私が望むのは、私の子供たちが争うことなく、円満に相続することです。」と付言されていました。