Aさんが相続手続きの依頼に事務所を訪れました。亡くなった母親名義の不動産の名義書換の依頼で、父親はすでに亡くなり、相続人はAさんと弟Bさんの二人でした。
Bさんと話し合いはついていて、母親の面倒をみていたAさんが、相続財産である不動産を取得することになっていました。

ところが母親の戸籍・除籍謄本など相続関係書類を調査すると母親が再婚であり、さらに子供Cもいることがわかりました。
元の夫とは離婚をして、子供は元夫が引き取っているので、母親の戸籍には転記されず分からなかったのです。

Aさんに連絡をとると、母親が再婚であることは知っていましたが、子供、つまり、Aさんの兄弟がいることは知りませんでした。元夫は相続人ではありませんが、Cさんは相続人です。Cさんにも遺産分割協議書に署名捺印をもらい、印鑑証明書などを受け取れないと手続きができません。

AさんがCさんに手紙を書き協力を依頼しました。しかし、Cさんは関わりたくないからと手続きに協力的ではありません。何度連絡をしても書類がもらえませんでした。最終的に家庭裁判所に遺産分割調停を申立てて何とか解決しました。

この事例は事前に公正証書による遺言を作成しておけば、回避できた事例だと思います。